老年精神医学グループ
グループリーダー:吉村 匡史
超高齢化社会を反映して、外来・入院ともにご高齢の患者さんが少なくありません。総合医療センター精神神経科では、2000年から認知症専門外来である「もの忘れ外来」を開設しています。また、入院の患者さんにおいても認知症、あるいは何らかの認知機能低下を伴ったご高齢の方々が非常に多い状況です。当科では以前から、多職種の密な協働でご高齢の患者さんへの対応を行っており、生物学的・心理学的・社会学的側面などさまざまな視点から老年精神医学にアプローチすることが可能です。現在、外来に来院される認知症患者さんの神経心理検査所見、ADL、脳画像所見、遺伝子多型、脳波所見などさまざまなデータを、系統的に調査・検討して今後の臨床に役立てていくための研究プロジェクトを計画中です。当科では認知症疾患以外にも、気分障害圏、精神病圏、不安障害圏などさまざまな疾患を有する高齢者症例の経験が可能です。今後もしばらく日本の人口の高齢化は続きますので、老年精神医学は精神医学の中でも非常に重要な領域です。いっしょに臨床をしながら自分なりの研究テーマを見つけてみませんか?
最近の主な業績
英語原著論文
- Grieder, M., Koenig, T., Kinoshita, T., Utsunomiya, K., Wahlund, L. O., Dierks, T., & Nishida, K. Discovering EEG resting state alterations of semantic dementia. Clinical neurophysiology, 127(5), 2175-2181.2016.
- Suwa A, Nishida K, Utsunomiya K, Nonen S, Yoshimura M, Takekita Y, Wakeno M, Tajika A, Yoshino M, Koshikawa Y, Kato M, Kinoshita T;Neuropsychological Evaluation and Cerebral Blood Flow Effects of Apolipoprotein E4 in Alzheimer's Disease Patients after One Year of Treatment: An Exploratory Study.Dement Geriatr Cogn Disord Extra;5:414-423,2015
- Nishida K, Morishima Y, Yoshimura M, Isotani T, Irisawa S, Jann K, Dierks T, Strik W, Kinoshita T, Koenig T;EEG microstates associated with salience and frontoparietal networks in frontotemporal dementia, schizophrenia and Alzheimer's disease.Clinical neurophysiology;124(6)1106-1114,2013
- Nishida K, Yoshimura M, Isotani T, Yoshida T, Kitaura Y, Saito A, Mii H, Kato M, Takekita Y, Suwa A,
Morita S, Kinoshita T; Differences in quantitative EEG between frontotemporal dementia and
Alzheimer's disease as revealed by LORETA. Clinical neurophysiology;122:1718-1725,2011
日本語原著論文
- 吉村 匡史, 西田 圭一郎, 嶽北 佳輝, 木下 利彦;【認知症と類縁疾患-最新の研究動向-】類縁疾患と鑑別診断 血管性認知症.日本臨牀;74(3):489-494,2016
- 吉村匡史, 嶽北佳輝, 諏訪 梓, 西田圭一郎, 木下利彦;血管性認知症 血管性認知症の治療と予後.日本臨床;72(増刊7 最新臨床脳卒中学 -下-):610-613,2014
- 許 全利, 西田圭一郎, 三井 浩, 北浦祐一, 嶽北佳輝, 加藤正樹, 高瀬勝教, 高橋幸利, 木下利彦;高齢男性に発症した抗NMDA受容体脳炎の症例.老年精神医学雑誌;25(10):1153-1159,2014
- 越川陽介, 嶽北佳輝, 吉村匡史, 鈴木美佐, 西田圭一郎, 諏訪 梓, 田近亜蘭, 坂井志帆, 吉野真紀, 加藤正樹, 木下利彦;アルツハイマー型認知症患者が抗認知症薬を長期服薬する因子は何か donepezilとmemantineの後方視的検討から.Geriatric Medicine;52(6):685-690,2014
- 吉村匡史;認知症への非薬物的関わり. ヘザー・ヒル(著),三宅眞理, 吉村節子(編), 山口樹子(訳):ダンスコミュニケーション 認知症の人とつながる力: pp52-53,クリエイツかもがわ,2014.
- 鈴木美佐; 大学病院における精神保健福祉士の役割. 日本精神科病院協会雑誌; 28(9)40-45, 2009
- 吉村匡史, 織田裕行, 杉本達哉, 西田圭一郎, 田近亜蘭, 嶽北佳輝, 鈴木美佐, 木下利彦; 【総合病院精神
医学と認知症】認知症医療において総合病院精神科病棟が果たす役割. 総合病院精神医学;21(3) 243-
250, 2009
講演
- 吉村匡史,嶽北佳輝,北浦祐一,西田圭一郎,木下利彦;身体症状で入院する患者さんにおける認知症の診断−せん妄も含めて−.第67回日本病院学会 シンポジウム 2017.7(神戸)
- 吉村匡史, 嶽北佳輝, 西田圭一郎, 織田裕行, 高瀬勝教, 砂田尚孝, 鈴木美佐, 佐藤幸代, 加藤正樹, 木下利彦;当科における認知症診断・治療目的での初診症例.第31回日本老年精神医学会 2016.6(金沢)
- 嶽北佳輝, 加藤正樹, 分野正貴, 坂井志帆, 砂田尚孝, 越川陽介, 斧原藍, 奥川学, 木下利彦;大うつ病性障害薬物療法において加齢が寛解予測因子としての早期部分改善に与える影響 ―2無作為比較試験の結果より― 第31回日本老年精神医学会2016.6(金沢)
- 鈴木美佐, 吉村匡史, 諏訪 梓, 嶽北佳輝, 西田圭一郎, 木下利彦;関西医科大学附属滝井病院精神神経科外来における10年後転帰−平成15 年脳血流検査実施患者を対象として−.第29回日本老年精神医学会 2014.6(東京)
- 西田圭一郎, Pascual-Marqui RD, 吉村匡史, 磯谷俊明, 北浦祐一, 三井 浩, 木下利彦;アルツハイマー型認知症患者におけるLORETA cnnectivity解析の特徴.第44回日本臨床神経生理学会学術大会 2014.11(福岡)
- 西田圭一郎;認知症の診断と治療〜薬物療法を含めて〜.高槻市医師会学術講演会 2013.12(大阪)
- Nishida K, Yoshimura M, Morishima Y, Isotani T, Dierks T, Kinoshita T, Koenig T;Dysfunction of salience network in frontotemporal dementia using EEG microstates.11th World Congress of Biological Psychiatry 2013.6(京都)
- 砂田尚孝, 嶽北佳輝, 吉村匡史, 北浦祐一, 北浦福子, 坂井志帆, 藤山雅晴, 西田圭一郎, 三井 浩, 加藤正樹, 木下利彦;Wilson病患者におけるせん妄及び錐体外路症状に対しquetiapineを使用した一例.第23回日本臨床精神神経薬理学会・第43回日本神経精神薬理学会合同年会 2013.10(沖縄)
- 西田圭一郎, Matthias G, 吉村匡史, 磯谷俊明, 北浦祐一, 三井 浩, Thomas K, 木下利彦;意味性認知症患者と正常高齢者におけるEEG microstate mapの相違.第43回日本臨床神経生理学会学術大会 2013.11(高知)
学会発表
- 鈴木美佐; 尊厳のある生活を支える意味での病状説明について. 第9回日本高齢者虐待防止学会;神戸,
2012 - 鈴木美佐,西田圭一郎,諏訪梓,嶽北佳輝,田近亜蘭,松田郷美,吉村匡史,木下利彦; 認知症患者が身体疾
患で入院を要した際の介護者家族の負担調査. 第27回日本老年精神医学会; さいたま, 2012 - 鈴木美佐, 諏訪梓, 嶽北佳輝, 田近亜蘭, 西田圭一郎, 吉村匡史, 吉野真紀, 吉田常孝, 木下利彦;もの忘
れ外来における患者家族への病名説明とその後の障害受容について.第13回日本サイコセラピー学会; 大
阪, 2012 - 田近亜蘭, 吉村匡史, 杉本達哉, 西田圭一郎, 嶽北佳輝, 鈴木美佐, 木下利彦; もの忘れ初診外来を設置
する前後における診療サービス内容の比較. 第28回日本社会精神医学会;宇都宮, 2009