国内留学
上野 千穂
所属:京都市児童福祉センター診療所
三重県立小児診療センターあすなろ学園に留学

精神医学的見立てを行う際には、生まれ持った資質や幼少時からの環境を治療者が知ることが大切です。
児童精神医学(子ども臨床)は、乳幼児期から青年期までの心や脳の発達に寄り添う分野なのですが、一般精神科臨床を行ううえで大切なことも教えてくれます。
私は精神科医を志した頃から児童精神医学に興味があり、指定医取得後の2001年4月から2004年4月まで、三重県立小児心療センターあすなろ学園に国内留学致しました。
あすなろ学園は日本で唯一の児童精神科単科病院(80床)です。ここで児童精神科外来、未就学児から中学生までの入院治療を行いました。学園の仕事以外にも児童自立支援施設、児童相談所の嘱託医、サテライトクリニックの児童外来、就学指導委員会委員など様々な経験もさせていただきました。
あすなろ学園で一番学んだことは、子ども臨床において他職種の方々や教育機関との連携やチームワークがとても大切だということです。子ども臨床を行うには、医療というスタンスだけでなく、福祉的な知識や関わりが必要になるのですが、医療従事者には思いつかないような素晴らしい子どもとの関わり方や治療のヒントとなることをチームからたくさん学びました。大変な状況にある一人の子どものために、大勢の他職種の大人が何ヶ月も何年もかけて処遇を考えていきます。近年は虐待のニュースが流れない日はない状態ですが、その一方で懸命に対処しようとする大人も大勢いるということも知っていただけたらと思います。あすなろ学園は、様々な大学の医局から来られているため、他府県の臨床や学びの様子を知ることもでき同僚からも得るものが大きいです。
あすなろ学園で経験したことは、今の臨床スタイルの原点になるほど貴重なことです。これからも子ども臨床の小さな石垣の一つとして児童精神医学に貢献していきたいと考えております。