専門治療

専門治療

うつ病治療

うつ病専門治療

関西医科大学総合医療センターでは、うつ病治療専門スタッフが難治性うつ病の診断、入院治療、修正型電気けいれん療法(m-ECT)、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)、外来治療、リワークによる復職支援と再燃予防を適切に行っております。つまり、難治性うつ病から軽症うつ病の入り口から出口まで、一貫して治療できる病院でございます。主任教授の加藤正樹先生の専門はうつ病をはじめとする気分障害、特に、治るのが困難である難治性のうつ病です。適切な診断のもと、必要最小限の薬剤を用いて治療を行っていくことをモットーとしています。このような臨床への取り組みや、学会や著書を通しての教育が評価され、NHKで放送されたあさイチ「 知っておきたい!大きく変わったうつ病治療」では講師を務め、適切な抗うつ薬の使い方、薬を増やすことだけでなく減らすことで良くなる可能性をわかりやすく説明しました。現在は、日本うつ病学会のうつ病診療ガイドラインの作成責任者もされています。

入院

難治性うつ病・気分障害で治療が停滞している方には、成人の難治性気分障害の患者様を対象とした8日間の検査入院がございます。これは、8日間の短期間入院で、通常の外来では全ての実施に時間のかかる検査を実施し、気分障害治療のエキスパートによる診断と治療方針を行い、改善につながる根拠、解決策を見つけます。検査内容と、治療の流れは下記のようになります。

難治性気分障害 検査入院のご案内

薬物療法や精神療法では十分に寛解しない成人の難治性気分障害の患者様を対象とした8日間の検査入院です。

本検査入院の内容

以下のような多角的アプローチを通して診断と治療方針を改めて提案致します。

細かな問診

画像検査や脳波検査、血液検査などの身体検査

睡眠時ポリグラフィー検査による睡眠の問題の精査

性格や能力バランスの特徴に関する心理検査

作業療法を通じた行動特性の評価

本検査入院のメリット

気分障害治療のエキスパートによる診断と治療方針により改善の糸口を探ることができます。

通常の外来では全ての実施に時間のかかる検査を8日間という短期間で実施することが可能です。

お申込みから入院、退院後の流れ

精神科かかりつけ主治医に本検査入院を希望している旨をお伝えいただき、紹介状の作成を依頼してください。

主治医から当院宛てに紹介状をお送りください。※送り先は別途記載しております。

紹介状をもとに本検査入院が患者様にとって適切であるかを検討し、こちらからご本人、又はご家族にご連絡します。適応があった場合は、その際に初診の予約をお取りします。

初診で経過の詳細をうかがい、本検査入院での入院が適切かをあらためて判断させていただき、そこで入院予約をお取りします。

入院後は下記に記載されている検査を実施します。

退院後後は講師以上の医師より検査結果のフィードバックを実施します。

フィードバック終了後は紹介元へ通院いただきます。必要に応じてrTMSや就労支援などにもお繋ぎいたします。

また、薬物治療では良くならない方に対しては、適切な評価に基づき、修正型電気けいれん療法(以下、m-ECT)や反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)を用いた治療を行っております。

外来

脳・身体・精神の精査による適切な診断に基づき、必要最小限の薬剤による治療を行います。スタッフは産業メンタルヘルスの経験も豊富であり、復職を目指した治療計画、再燃、再発予防、産業医や人事担当者との環境調整なども行っております。復職に特化したリハビリであるリワークセンターでは、休職中のうつ病患者さんに対して、マインドフルネスや認知行動療法、認知機能改善プログラムなどの復職支援プログラムを行っております。詳細はリワークセンターを参照ください。

当院のうつ病外来では全ての要因を改善するお手伝いをします

うつ病は複数の要因で発症します

内因

  • セロトニンなどの脳内のホルモン
  • 神経可塑性の障害
  • 炎症性サイトカインなど
  • 気質、性格など

適切な介入

  • 入院での診断・加療
  • 適切な薬物治療
  • 安静加療
  • リワーク・マインドフルネス
  • 心理テスト

環境因

  • 職場のストレス(働きすぎ、不適応など)
  • 対人ストレス
  • 家庭のストレス

適切な介入

  • 会社や産業医との調整
  • 適性の判断
  • 家族面談

身体因

  • 併存する他の精神疾患
  • 併存する身体疾患による不調
  • 薬剤の副作用

適切な介入

  • 脳と身体の精査
  • 睡眠精査
  • 他科との連携
  • 適切な診断
  • 薬剤の再評価

うつ病に関する当教室スタッフの教育、臨床的な主な出版物

教育論文(総説・解説2020~)

  1. 加藤正樹 ; うつ病のプレシジョンメディスン1人ひとりにマッチしたうつ病治療をGUNDAM研究に託して Precision medicine for depression GUNDAM research for appropriate treatment of depression for each individual. ; 地球・宇宙・未来 ; 1 (2) : 61-70 2025
  2. 島本優太郎, 加藤正樹 ; うつ病のプレシジョンメディスンの実現に向けて ; 医学のあゆみ ; 292(13):1146-1152 2025
  3. 加藤正樹 ; 【うつ病 レジデントに役立つ臨床の最前線での診断や治療の極意!】 外来治療 うつ病治療はいつまでつづけるのか 維持療法と予防 ; 精神科Resident ; 5 (1) : 56-59 2024
  4. 加藤正樹; 抗うつ薬治療を開始する場面やその重要性,意義 月刊薬事 65(5):15-19,2023/4
  5. 加藤正樹 ; 【こんな時どうする? 5W2Hで学ぶ抗うつ薬の使い方】抗うつ薬治療を開始する場面やその重要性,意義 ; 月刊薬事 ; 65 (5) : 863-867 2023
  6. 加藤正樹, 越川陽介 ; 気分障害の評価尺度―QOL・パーソナルリカバリー― ; 臨床精神医学 ; 52 (10) : 1185-1194 2023
  7. 加藤正樹; うつ病のPrecision Medicine研究―Pharmacogenomics (PGx) を中心に―臨床精神医学  51(10):1139-1149, 2022/10
  8. 南翔太, 加藤正樹  治療抵抗性うつ病の薬物療法; 精神科治療学 37(8):857-863 2022/08
  9. 加藤正樹 ; 抗うつ薬の出口戦略-システマティックレビューのdicision aidの概要 ; 臨床精神薬理 ; 24 (9) : 929-936 2021
  10. 舩槻紀也, 加藤正樹 ; 高齢者のうつ病に対する薬物療法 ; 老年精神医学雑誌 32 (12) : 1288-1297 2021
  11. 加藤正樹【向精神薬は脳内で実際に何をしているのか?】展望 ;脳内での向精神薬の挙動──現状と近未来を展望する 2020
  12. 加藤正樹 【気分障害UPDATE-難治性うつ病に対しあきらめず取り組む】難治性うつ病の適切な薬物療法を考える 医学のあゆみ272巻5号 Page454-460 2020
  13. 加藤正樹【双極性障害-最新の診断と治療-】双極性障害の薬物療法 双極性障害治療における抗うつ薬の是非 日本臨床 78(10) 1703 - 1709 2020年10月

著書

  1. 加藤正樹(分担著者)日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症2023)
  2. 加藤正樹 ; 双極性障害 抑うつ状態 ;今日の治療指針 私はこう治療している 2023年版 ;1043-1044 医学書院
  3. 加藤正樹 ; 第2章双極性障害. そこが知りたかった!精神科薬物療法のエキスパートコンセンサス 2023 星和書店
  4. 加藤正樹、岡島由佳、上島国利 ;薬物治療各論学各論、1抗うつ薬. 専門医のための臨床精神神経薬理学テキスト 日本臨床精神神経薬理学会専門医委員会編集 2022
  5. 加藤正樹 ;第5章 精神・神経系の基本薬の使い分け うつ病へのSSRI, SNRI, NaSSA, SRIM はどう選ぶ? ; 月刊薬事 5月臨時増刊号 同種・同効薬の使い分け 疾患×基本薬のエビデンスを整理する ; 63 (7) 224-232 じほう, 2021
  6. 加藤正樹 ;ベンラファキシン. こころの治療薬ハンドブック第12版 (井上猛 [ほか] 編) ;94-95 星和書店,2019
  7. 加藤正樹 うつ病と双極性障害第4章 治療(総論) 治療薬剤 1.抗うつ薬 最新精神医学別冊 診断と治療のABC 最新医学社2018
  8. 加藤正樹 押さえておきたい向精神薬の基本 抗うつ薬 外来・病棟でよくみる精神症状対応マニュアル 月刊薬事増刊号 じほう2018
  9. 加藤正樹 精神心身医学疾患 ;44うつ病 ガイドライン外来診療 日経メディカル開発,2018
  10. 加藤正樹 精神心身医学疾患 ;44うつ病 ガイドライン外来診療 日経メディカル開発,2016
  11. 加藤正樹 ;精神科薬物療法 グッドプラクティス 精神神経学会編 V章 抗うつ薬
  12. 加藤正樹 ;9.薬物反応性のバイオマーカー 9-1.抗うつ薬.精神疾患のバイオマーカー ;193-214
  13. 加藤正樹、木下利彦,第11章 うつ病の薬物療法、うつ病の事典 うつ病と双極性障害がわかる本 樋口輝彦、野村総一郎、加藤忠史編__

認知症外来

認知症外来について

関西医科大学医学部精神神経科学講座では、認知症の診断と治療に専門的に取り組む「認知症外来」を、関西医科大学附属病院精神神経科の外来において開設しております。 高齢化社会の進展とともに、認知症は今や誰にとっても身近な疾患となっており、正確な診断と適切な治療がますます重要になっています。

当外来では、週2日、認知症および老年精神医学会の専門医が診療を担当し、専門性の高い医療を提供しています。主に、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脳血管性認知症など、さまざまなタイプの認知症に対応しており、診断から治療、さらにはBPSD(行動・心理症状)へのきめ細やかな対応まで、包括的な医療を行っています。

初診時には、MMSE(Mini-Mental State Examination)などの簡易な神経心理検査を実施し、必要に応じて、より詳しい検査(採血、詳細な心理検査、神経診察、画像検査、脳波など)を組み合わせて、診断の精度を高めています。認知機能がある程度保たれている場合でも、患者さんご本人やご家族の希望があれば、より精密な評価や経過観察を行うことが可能です。

また、当講座では、脳神経内科と緊密に連携しながら、アルツハイマー型認知症に対する新規治療薬である抗アミロイドβ抗体薬の導入を積極的に行っております。本治療は、アミロイドPETをはじめとした画像検査などを活用し、厳密な適応評価を経て行われます。投与開始時には安全性を確保するために1泊2日の入院を基本とし、その後は外来での継続投与を行っています。すでに多数の患者さんに対して導入実績があり、その治療経験をもとに、より良い治療方針の提案が可能です。さらに、当外来では、脳神経内科との共同研究も積極的に展開しており、最新の知見に基づいた診療の実現を目指しています。

認知症は、患者さんご本人の生活の質だけでなく、ご家族にも大きな影響を及ぼす疾患です。当外来では、医師・心理士・精神保健福祉士・看護師など多職種によるチーム医療を通じて、患者さんとご家族の不安や困難に寄り添いながら、安心して診療を受けていただける環境を整えています。 もの忘れが気になる、日常生活での支障が増えてきたなど、気になる症状がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。早期の診断と適切な対応が、今後の生活をより良いものにする第一歩です。

皆さまのご来院を、スタッフ一同心よりお待ちしております。

認知症外来について

こどものこころの診療について

医療関係者

関西医科大学精神神経科学講座では、「子どものこころの診療」として、児童から思春期にかけてのこころの問題に対して専門的な対応を行っています。発達の特性に起因する困りごと(自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症など)、不登校、不安やこだわりの強さ、対人関係での悩み、元気がなくなる状態など、さまざまなご相談を受け付けています。初診では、ご本人やご家族からじっくりとお話をうかがい、必要に応じて心理検査などを通じて、こころの状態や背景にある要因を多角的に把握します。そのうえで、精神療法的な関わりを中心に、状態に応じて学習や生活環境への配慮、対人関係の工夫などを含めた支援を検討していきます。薬による治療が必要と判断される場合には、ご本人・ご家族と相談のうえ慎重に検討を行います。子どもたちは、日々の生活の中で多くのことを感じ、悩みながら成長しています。ときにはその過程で、言葉にしにくい苦しさを抱えることもあります。当科では、お子さま一人ひとりの発達の歩みと個性を尊重し、安心して相談できる場づくりを大切にしています。ご不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。